俗物性と作家
ぞくぶつせいとさっか
初出:「東京新聞 第一六九一号~一六九二号」1947(昭和22)年5月27日~28日分量:約6分
書き出し:(上)先日高見順君の文芸時評に私の「逃げたい心」の序文の文章をとりあげて、作家は外部条件に左右されて、作品が書けたり書けなかったりするようではダメなので、作品は作家が書くべきもの、「もっとマシな作品」が書けるはずで、書けなかったなどというのはウソだ。能力がないから書けないだけだ、と言っているが、果してそんなものか、文学とか人生というものがそんなに必然的に動いて行ってくれるものか、これは高見君へのお...