「理想の女」の感想
理想の女
りそうのおんな
初出:「民主文化 第二巻第六号」中外出版、1947(昭和22)年9月1日

坂口安吾

分量:約8
書き出し:ある婦人が私に言つた。私が情痴作家などゝ言はれることは、私が小説の中で作者の理想の女を書きさへすれば忽ち消える妄評だといふことを。まことに尤もなことだ。昔から傑作の多くは理想の女を書いてゐるものだ。けれども、私が意志することによつて、それが書けるか、といふと、さうはたやすく行かない。誰しも理想の女を書きたい。女のみではない、理想の人、すぐれた魂、まことの善意、高貴な精神を表現したいのだ。それはあら...
更新日: 2021/05/11
496b7f29770aさんの感想

理想の小説とは何か。綴方や自然派が悪いとは思わないが、自然派について個人的に得も言われぬ事を全て述べて下さったので、何だか靄が晴れたような気分になった。作家の血の滲むような苦労を経て、……理想の女、理想の人間、人格……その理想に行き着こうと足掻く姿勢や、醜怪な作品に不思議と美しさを感じる。