「青鬼の褌を洗う女」の感想
青鬼の褌を洗う女
あおおにのふんどしをあらうおんな
初出:「愛と美」朝日新聞社、1947(昭和22)年10月5日

坂口安吾

分量:約101
書き出し:匂いって何だろう?私は近頃人の話をきいていても、言葉を鼻で嗅ぐようになった。ああ、そんな匂いかと思う。それだけなのだ。つまり頭でききとめて考えるということがなくなったのだから、匂いというのは、頭がカラッポだということなんだろう。私は近頃死んだ母が生き返ってきたので恐縮している。私がだんだん母に似てきたのだ。あ、また——私は母を発見するたびにすくんでしまう。私の母は戦争の時に焼けて死んだ。私たちは元...
更新日: 2021/05/07
19双之川喜41さんの感想

 妾の娘だから 妾になるとは 限らないけど、妾になってしまった。 極端な性情の 書き込みは 人物像を 浮かび上がらすための 技巧とも 思われる。 結末は 存外 世話女房的で こうなると 三代目も 妾かもしれない。

更新日: 2018/05/26
ec538f32331eさんの感想

題名がスゴイ。妾の母親から、妾に成るよう育てられた自称オメカケ型女子の一人称小説。戦争のこと、恋愛観、相撲取りとの浮気。老いた旦那との優しい関係。不思議な魅力に溢れる作品。愛されていない妻よりここまで愛されるのなら、妾の方が良いと割りきれないのは、私が凡人である証拠か、それとも青鬼の褌を洗濯出来ない女なのからか。