「母の上京」の感想
母の上京
ははのじょうきょう
初出:「人間 第二巻第一号」1947(昭和22)年1月1日

坂口安吾

分量:約42
書き出し:母親の執念はすさまじいものだと夏川は思つた。敗戦のどさくさ以来、夏川はわざと故郷との音信を断つてゐる。故郷の知り人に会ふこともなく、親しい人にも今の住所はなるべく明さぬやうにしてゐるのだが、どういふ風の便りを嗅ぎわけて、母がたうとう自分の住居を突きとめたのだか、母の一念を考へて、ゾッとするほどの気持であつた。夏川が都電を降りると、ヒロシが近づいてきて、ナアさん、お帰りなさいまし、と言ふ。そして、お...
更新日: 2020/11/07
19双之川喜41さんの感想

 実母の手前  取り繕わなければ ならない 事態を 親身に心配してくれたのは オカマで 男娼の ヒロシである。 安吾の目線は 若い売春婦と その母親▫ 因業爺 などに対しても  愛情溢れ  差別することはない。 懐が深いことに むしろ  感動してしまうのである。

更新日: 2020/11/04
yopparariさんの感想

ハハハ。なんというか、色々つらつら述べてはきたが、結局人間はこんなんだから面白いんだよ、って言われたような気がした。

更新日: 2020/06/11
6ed1fc493468さんの感想

白髪頭の腰の曲がった老婆の姿をなんで見なければならないのか。 それを手もなく、だまして、言いくるめて、砂をかむやうな不快な思ひをなぜしなければならぬのか。 老いた母と息子とはこんなものだと、つくづく思う。