「中庸」の感想
中庸
ちゅうよう
初出:「群像 第八巻第六号」1953(昭和28)年6月1日

坂口安吾

分量:約40
書き出し:1この村からは陸海軍大佐が各一名でた。陸軍の小野は南方で戦歿し、海軍の佐田は終戦後帰村した。余がそれである。余がその村の村長となったのは決して自分の意志ではない。たまたま前村長が病死して、他に適当な人がなかったために、推されるままに引受けてしまったのだが、人々の話では役場へでて村長の席に坐っているだけでよいような話であったし、自分の記憶でも、余の叔父が村長のころは用あれば役場の小使が迎えに来たもの...
更新日: 2021/10/21
e447bc35c3aeさんの感想

戦後の混乱期の農村で、態度も言動もコロコロ変えながら、図太く生き抜く田舎の村の人々。村長の無能海軍大佐は彼らに中庸を説くが、やることなす事全てが裏目に出る。人の激しさに対しては、中庸など何の役にも立たないということだろう。