「正午の殺人」の感想
正午の殺人
しょうごのさつじん
初出:「小説新潮 第七巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日

坂口安吾

分量:約35
書き出し:郊外電車がF駅についたのが十一時三十五分。このF行きは始発から終発まで三十分間隔になっていて、次の到着は十二時五分。それだと〆切の時間が心配になる。「あと、五十日か」文作は電車を降りて溜息をもらした。流行作家神田兵太郎が文作の新聞に連載小説を書きはじめてから百回ぐらいになる。約束の百五十回を終るまでは、毎日同じ時間にFまで日参しなければならぬ。駅から神田の家までは十分かかった。前方を洋装の若い女が...
更新日: 2023/06/22
decc031a3fabさんの感想

終わってみるとアッサリした解決だったが、ある事件に美女が表れたとしたら皆んなの関心はそっちに移って、肝心の焦点よりも盛り上がってしまう。正義感熱血漢の新聞記者である主人公もその時間に現場に居た自負があったからこそ、時系列順に事柄を並べられるまでで霧中に迷い込んでしまった格好。 色んな推理ものが世にあるけれど、現実の事件も当事者たちは意外におかしな事は言わないのだろうし、未解決となっている事件も捜査側の最初の思い込みが迷宮入りの原因となっていたのかもしれないな。