神サマを生んだ人々
かみサマをうんだひとびと
初出:「キング 第二九巻第一一号」1953(昭和28)年9月1日分量:約33分
書き出し:二号の客引き大巻《おおまき》博士が途方にくれながら温泉都市の海岸通りを歩いていると、ポンと背中をたたいた者がある。「大巻先生じゃありませんか」振向いてみると、五十がらみの宗匠然とした渋いミナリの人物。見たような顔だ。「どなたでしたかな?」「芝の安福軒ですよ。それ、戦前まで先生の三軒向う隣りの万国料理安福軒。思いだしたでしょう。終戦後はこの温泉場でその名も同じ安福軒をやっております」「すると、君はこ...