軽小説である。 安吾が 片仮名を 多用するのは 漢字を思い出せないか 面倒臭いかの どちらかであろう。 再婚を願望する中年男と その息子と 乗り気でない女の 珍道中記である。
小説は最初の出だし3行で決まると言っても過言ではない。 「神経衰弱」という言葉がいきなり登場だ。見合いが発病の元、とあれば、凡そ、「ハハン、そういうことか!」とその後の展開が分かる。読むか、読まぬか、の決断となる。軍配は、あと1行あと1行と読み進む。まるでマラソン選手があの電信柱まで走ろう、あと1本、あと1本、と思い42.195kmに辿り着くように。再婚の癖に、恋をしちゃたら病気になりますよ!息子が美人のママじゃなく、美人の年上女房としてオヤジから略奪する、というのもアナザーストーリーで面白いと思った。三角関係も他人同士の家族の場合は近親相関の対象外だから、オヤジと結婚したママが息子と不倫でも面白い。