坂口安吾
面白い訳では無いし題材も暗め。だが安吾はそこから人間の生きる力を描き出すことに成功した。やがてこの雪国の村にも、出稼ぎの若者たちを通じて都会の空気が入ってきて変化が起こっていく未来を知っていれば、こうした古い村のことは昔の事と目を背けがちだ。 令和の現在はまだ郷愁を誘うネタ話になっているが、おそらく確実に消える類いのものだろう。そんななかにも当の禅僧のようにカッコ悪く恥を晒しながらも、朝になると起き上がっていく者が一人でもどこかに居たというのが、何か未来に繋がっている感じがしたな。