晴れの日の午後、土堤から見る空の景色描写は相変わらず凄い。そしてその日の闇の描写。これも素晴らしい。
梶井の小説の一貫したテーマがこの作品にも現れている。 それは「闇」だ。 闇に吸い込まれる感覚は死を予見する恐怖だ❗️
梶井は 雲が湧き立っては消えて行く空の中に 白日の闇が みちみちていると言う。 「杉林が一斉に飛ばす花粉の煙であった。」 寡聞にして他の例を知らないけど 花粉の描写は 珍しく 症状が出ればまさに 空が晴れても 心は闇だとなってしまうと思った。
明るい午後の空に虚無を見出す感性は、流石としか言いようがない。
自身の消失におののくというkの昇天にみられる現象学的要素のある話。 気色悪いほど真っ青な空とはこの事だろうか。
虚無と無限を内包した蒼窮に「空恐ろしさ」を覚える感性が、まさしく梶井基次郎その人だと思わせるお話でした。
また 闇 だ! 闇、これこそが梶井基次郎の精神に 取り憑く病だ いつか自分がその闇の中に 吸い込まれて行くのではないか! という不安と恐怖 夜だけではない 昼の雲の中にも 闇 を見つけてしまった! もはや、逃げ場所は彼にはない 死の闇が 必然であった
なんという虚無!