「蒼穹」の感想
蒼穹
そうきゅう
初出:「文芸都市」1928(昭和3)年3月号

梶井基次郎

分量:約7
書き出し:ある晩春の午後、私は村の街道に沿った土堤の上で日を浴びていた。空にはながらく動かないでいる巨《おお》きな雲があった。その雲はその地球に面した側に藤紫色をした陰翳《いんえい》を持っていた。そしてその尨大《ぼうだい》な容積やその藤紫色をした陰翳はなにかしら茫漠《ぼうばく》とした悲哀をその雲に感じさせた。私の坐っているところはこの村でも一番広いとされている平地の縁《へり》に当っていた。山と溪《たに》とが...
更新日: 2025/04/18
猫のにゃんたろうさんの感想

晴れの日の午後、土堤から見る空の景色描写は相変わらず凄い。そしてその日の闇の描写。これも素晴らしい。

更新日: 2021/12/05
いちにいさんの感想

梶井の小説の一貫したテーマがこの作品にも現れている。 それは「闇」だ。 闇に吸い込まれる感覚は死を予見する恐怖だ❗️

更新日: 2020/11/07
19双之川喜41さんの感想

 梶井は 雲が湧き立っては消えて行く空の中に 白日の闇が みちみちていると言う。 「杉林が一斉に飛ばす花粉の煙であった。」 寡聞にして他の例を知らないけど 花粉の描写は 珍しく 症状が出ればまさに  空が晴れても  心は闇だとなってしまうと思った。

更新日: 2020/10/28
yopparariさんの感想

明るい午後の空に虚無を見出す感性は、流石としか言いようがない。

更新日: 2019/02/01
de95e8002691さんの感想

自身の消失におののくというkの昇天にみられる現象学的要素のある話。 気色悪いほど真っ青な空とはこの事だろうか。

更新日: 2018/02/28
1a5a72c52e7aさんの感想

虚無と無限を内包した蒼窮に「空恐ろしさ」を覚える感性が、まさしく梶井基次郎その人だと思わせるお話でした。

更新日: 2017/10/29
芦屋のまーちゃんさんの感想

また 闇 だ! 闇、これこそが梶井基次郎の精神に 取り憑く病だ いつか自分がその闇の中に 吸い込まれて行くのではないか! という不安と恐怖 夜だけではない 昼の雲の中にも 闇 を見つけてしまった! もはや、逃げ場所は彼にはない 死の闇が 必然であった

更新日: 2015/11/18
イリュージョン亭チェリスさんの感想

なんという虚無!