「眉の記」の感想
眉の記
まゆのき

上村松園

分量:約6
書き出し:眉目秀麗にしてとか、眉ひいでたる若うどとか、怒りの柳眉を逆だててとか、三日月のような愁いの眉をひそめてとか、ほっと愁眉をひらいてとか……古人は目を心の窓と言ったと同時に眉を感情の警報旗にたとえて、眉についていろいろの言いかたをして来たものである。目は口ほどにものを言い……と言われているが、実は眉ほど目や口以上にもっと内面の情感を如実に表現するものはない。うれしいときはその人の眉は悦びの色を帯びて如...
更新日: 2024/04/14
19双之川喜41さんの感想

 松園は 母親が 常に 眉を 剃り 青々と させていたことを 思い出すという。術後の 麻酔の 覚醒から 徐々に 激痛が 戻るのを 耐え忍ぶとき 辛い 表情は また 眉に 顕れるとする。泉鏡花の 外科医という 作品を引いて 眉の 存在感を 伝え得て 巧みであると 感じた。

更新日: 2015/12/20
砂時計さんの感想

松園の美人画はたいへん好きでしたが、彼女の書いた文章というものを初めて読みました。 結婚して母となったしるしに眉を剃り落とす……そんな習俗があったのも初めて知ったことです。 彼女の絵からは、ふるい日本女性の持っていた何とも言えないたおやかさ、哀しみを湛えた美しさにたいする深い観察眼を感じます。 その画風そのままに、決して声高でないのにやさしく心に語りかける、よい随筆だと思いました。