「花は勁し」の感想
花は勁し
はなはつよし

岡本かの子

分量:約45
書き出し:青みどろを溜めた大硝子箱の澱んだ水が、鉛色に曇つて来た。いままで絢爛に泳いでゐた二つのキヤリコの金魚が、気圧の重さのけはひをうけて、並んで沈むと、態と揃へたやうに二つの顔をこちらへ向けた。うしろは青みどろの混沌に暈けて二ひきとも前胴の半分しか見えない。箱のそとには黄色い琥珀の粒の眼をつけた縞馬の置物が、水粒が透けて汗をかいたやうな硝子板に鼻を擦りつけてゐる。箱の蓋の上に置いてある鉢植のうす紅梅がぽ...
更新日: 2025/08/21
艚埜臚羇1941さんの感想

  病弱な 売れない 画家は 子供を 遺して 世を 去った。新興 前衛 華道家は 道に 没頭し 思い出を 裁ち切る。遺児は 姪に 遺された 赤子で 師匠は 複雑な 想いに 押し潰される。理が 勝ちすぎているようにも 感じられた。