「アインシュタイン」の感想
アインシュタイン
アインシュタイン
初出:「改造」1921(大正10)年10月1日

寺田寅彦

分量:約32
書き出し:一この間日本へ立寄ったバートランド・ラッセルが、「今世界中で一番えらい人間はアインシュタインとレニンだ」というような意味の事を誰かに話したそうである。この「えらい」というのがどういう意味のえらいのであるかが聞きたいのであったが、遺憾ながらラッセルの使った原語を聞き洩らした。なるほど二人ともに革命家である。ただレニンの仕事はどこまでが成効であるか失敗であるか、おそらくはこれは誰にもよく分らないだろう...
更新日: 2022/05/07
cdd6f53e9284さんの感想

冒頭、バートランド·ラッセルが、この世の中で一番えらい人物は、アインシュタインとレーニンだと言ったそうだ。 なるほど、アインシュタインは、いまだに「一番えらい人」だが、レーニンの方はどうだろう。 彼の「遺産」は、100年後には、モンスターのように肥大化し、あちこちで相変わらず人殺しに励んでいることで受け継がれている、まったく迷惑な話だ。 いまは、ウクライナでその暴挙を展開中だが、これだけの人命を失うことと引き換えにするのだから、独裁者というものが、如何に悪魔的にうまみのある地位かが分かる。 しかし、なによりも、ラッセルがそんなことを言うこと自体の方が驚きだ。 ジョージ·オーウェルが「ナショナリズム」のところで書いていたが、イギリスばかりでなく欧州における当時の「共産主義崇拝」は、相当なものだったことが、これでよく分かる。 資本主義の行き詰まりの出口なき閉塞状況のなかで、これだけの教養人にも地上の楽園ユートピアを夢見させたということだ、実に罪な話だ。 こんなイカサマの思想に踊らされて命を落としてしまった人は、本当に浮かばれまい。 この寺田寅彦の「アインシュタイン」の一文を読んで、小生もアインシュタインくらいになれるのではないかと、力付けられた一文があった。 アインシュタインが、伯父さんのヤーコブに、代数学というものが、どんなものかと質問した答えが、凄い。 こうだ。 「代数というのは、あれは無精もののずるい計算である。 知らない答えをXと名付けて、そして、それをさも知ってるような顔をして取り扱って、それと知ってるものとの関係式を書く。 そこからこのXを定めるという方法だ」 素晴らしい。 もし、理路整然とこういう教え方をされていたら、自分も物理学で大成できたかもしれない、いや、マジで。

更新日: 2020/11/03
19双之川喜41さんの感想

 彼は 「芸術から受ける精神的幸福は 他から得られない 」と言っているけど  音楽には 関心があったものの 絵画には あまり関心を示さなかったらしい。 また 「蒸気機関が発明されなかったら人間はもう少し幸福だった」とも言っているけど  後の 原子力に対する  暗示的な発言と思う。

更新日: 2017/01/23
af954f576f76さんの感想

大正十年の著作の為、今では誰もが知っている原爆について書かれていない。まだアインシュタインを語るには早すぎた。