梶井基次郎
往時 街道の 旅人は 箱根の山道を 登るのに 辛さのあまり 「橡(とち)の実ほどの 涙流れる」という 句があるけど 基次郎も 内に秘めた苦悩を 文を したためつつ やり過ごそうと 悪戦苦闘したようにも 想えた。基井は 妄想で 卑屈(ひくつ)に成ることもなく その後の 調和にこそ 安んじたいと 結ぶ。