「橡の花」の感想
橡の花
とちのはな
初出:「青空」1925(大正14)年11月

梶井基次郎

分量:約28
書き出し:一この頃の陰鬱な天候に弱らされていて手紙を書く気にもなれませんでした。以前京都にいた頃は毎年のようにこの季節に肋膜《ろくまく》を悪くしたのですが、此方《こちら》へ来てからはそんなことはなくなりました。一つは酒類を飲まなくなったせいかも知れません。然しやはり精神が不健康になります。感心なことを云うと云ってあなたは笑うかも知れませんが、学校へ行くのが実に億劫《おっくう》でした。電車に乗ります。電車は四...
更新日: 2024/04/23
19双之川喜41さんの感想

 往時 街道の 旅人は 箱根の山道を 登るのに 辛さのあまり 「橡(とち)の実ほどの 涙流れる」という  句があるけど 基次郎も 内に秘めた苦悩を 文を したためつつ やり過ごそうと 悪戦苦闘したようにも 想えた。基井は 妄想で 卑屈(ひくつ)に成ることもなく その後の 調和にこそ 安んじたいと 結ぶ。