「水鳥亭」の感想
水鳥亭
みずとりてい
初出:「別冊文藝春秋 第一五号」1950(昭和25)年3月5日

坂口安吾

分量:約77
書き出し:一匹のイワシ日曜の夜になると、梅村亮作の女房信子はさッさとフトンをかぶって、ねてしもう。娘の克子もそれにならって、フトンをひっかぶって、ねるのであった。九時半か十時ごろ、「梅村さん。起きてますか」裏口から、こう声がかかる。火のない火鉢にかがみこんで、タバコの屑をさがしだしてキセルにつめて吸っていた亮作は、その声に活気づいて立ち上る。いそいそと裏戸をあけて、「ヤア、おかえりですか。さア、どうぞ、おあ...
更新日: 2022/02/13
19双之川喜41さんの感想

 題意は ある漢字を分解して こじつけた 別荘のような家の 名称である。 終戦の頃 どさくさ紛(まぎ)れに 財を成した 闇成金(やみなりきん)は 結構いた。 妻子に逃げられ ささやかな家を手に入れた男の 脱力感を描く。

更新日: 2019/04/16
6ed1fc493468さんの感想

信子と克子は疎開をチャンスにして、亮作から離れられて本当に良かった。周囲の人間をイライラさせる。一番の被害者が家族だ。怠け者のくせに保身の言い訳だけはダラダラと無茶苦茶なことを並べたてる。読んでいるだけで胃がムカムカした。たとえ大地主になろうと宝くじで金持ちになろうと、こんな奴には近寄りたくない。そもそもこういう奴は首を括るなんてことはしない。己だけがかわいいんだから。