「奈良二題」の感想
奈良二題
ならにだい

野上豊一郎

分量:約8
書き出し:社交團正倉院の曝凉は途中で雨が降りだすと追ひ出されて拜觀劵がそれきり無效になるので天氣を見定めて出かけねばならなかつた。それに、拜觀時間は十時から三時までと限られてあつたので、時間を有效に利用しなければ、私の計畫してゐたものは全部調べられるかどうかわからなかつた。私はその時(大正十五年十一月)は主として北倉と南倉の階上に陳列されてある伎樂面と天平時代の雜樂に關する資料を拜觀したいと思つてゐた。その...
更新日: 2025/09/14
艚埜臚羇1941さんの感想

  野上氏は 懐中電灯 目録 寫生幀を もって 奈良ホテルから 正倉院の 曝涼展に 出向いた。入り口では 高官の 妻達が 執拗に 挨拶を 交わし 続けていた。光明皇后の 御齒を おさめた 小箱の 中の 真珠を 床に ぶちまけて しまったので 拾い集め 数を 確かめて もらった。バラケた さまは 入り口の 女たちの 挨拶 競争 にも 似て 収拾が つかない ようでも あった。