「心霊殺人事件」の感想
心霊殺人事件
しんれいさつじんじけん
初出:「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日

坂口安吾

分量:約64
書き出し:伊勢崎九太夫はある日二人の麗人から奇妙な依頼をうけた。心霊術の実験に立ち会ってインチキを見破ってくれというのだ。九太夫はいまは旅館の主人だが、もとは奇術師で名の知れた名手であった。奇術師の目から見れば心霊術なぞは幼稚きわまる手品で、暗闇でやるから素人をだましうる程度のタネと仕掛だらけの詐術にすぎないのである。熱海の旅館なぞでもこの心霊術師をよんで実験会をやるのが一時流行したこともあったので、九太夫...
更新日: 2019/07/02
ハルチロさんの感想

面白い推理小説です。この作品が作られた時代に、心霊術が盛んだったのかどうかは、詳しく解りません。しかし、トリックの舞台設定を、犯人の証拠隠滅に都合良く揃えることができるという点では、推理小説の舞台設定としては、申し分ないと思います。作品中の人物設定、犯人特定までの推理過程なども、論理構成が確りしているので、読んでいて楽しかったです。