「貞操問答」の感想
貞操問答
ていそうもんどう

菊池寛

分量:約516
書き出し:金を売る一七月、もうすっかり夏であるべきはずだのに、この三日ばかり、日の目も見せず、時々降る雨に、肌寒いような涼しさである。今も、小雨が降っている。だが空はうす白く、間もなく雨も降り止みそうな光が、ただよっている。新子は、ぼんやり二階の居間から、外を眺めている。路次の水たまり、黒い小猫がぴょんぴょんと水溜《みずたまり》をさけて、隣の生垣の下をくぐった。茶色の雨マントを着た魚屋が、自転車に乗って来て...
更新日: 2019/06/15
6ed1fc493468さんの感想

登場人物は3人の姉妹と資産家の家族。シチュエーションは軽井沢の別荘と銀座の店。とコスパの良い作品にもかかわらず、メロドラマを追うように一気に読んでしまった。流石、菊池寛だ。 しっかし居るのよねぇ〜こういう女子。「まぁ」とか「あら」とか「いけませんわ」とか言いながら、しっかり銀座に店出させてね。社長も初めての不倫で舞い上がってるけど、2人が可愛いと言っていた子供達のことは考えないのかね〜。

更新日: 2017/04/23
456e94a2268cさんの感想

超面白い。三姉妹のキャラが巧妙に且つ、新鮮に描かれていて、貞操問答と言う取っ付きにくい題名だったので、期待せずに読み始めたが、直ぐにはまってしまった。外国製の化粧品や服飾から、当時の女性文化もうかがえ、興味深かった。この作品は菊池自身、映像化を前提に創作したのであろうか。映画、昼ドラ化されているのがうなずける。それにしても、これは貞操不倫から不倫へ進む過程なのかな?