「二銭銅貨」を読む
「にせんどうか」をよむ
初出:「新青年」1923(大正12)年4月号分量:約6分
書き出し:「二銭銅貨」の原稿を一読して一唱三嘆——いや、誰も傍にはいなかったから一唱一嘆だったが——早速、「近頃にない面白い探偵小説でした」と森下さんに書き送ったら「それに就ての感想」を書かないかとの、きつい言い付け。文芸批評と自分の法名ばかりは、臍の緒切ってからまだ書いたことが御座りませぬからと一応御断りしようと思ったところ、オルチー夫人のサー・パーシー・ブレークネーではないが、持って生れた悪戯気分がむら...