「血液型殺人事件」の感想
血液型殺人事件
けつえきがたさつじんじけん
初出:「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年6、7月号

甲賀三郎

分量:約90
書き出し:忍苦一年毛沼《けぬま》博士の変死事件は、今でも時々夢に見て、魘《うな》されるほど薄気味の悪い出来事だった。それから僅《わずか》に一月|経《た》たないうちに、父とも仰《あお》ぐ恩師|笠神《かさがみ》博士夫妻が、思いがけない自殺を遂《と》げられた時には、私は驚きを通り越して、魂が抜けたようになって終《しま》い、涙も出ないのだった。漸《ようや》くに気を取直して、博士が私に宛てられた唯一の遺書を読むと、私...
更新日: 2019/07/30
ハルチロさんの感想

この作品のトリックの解説、ストーリーの展開は、全く論理一貫性があり、説得力がありました。著者の経歴には農商務省の化学技官の経験があるとのことですが、その経験が活かされた作品ではないかと思います。また、結末については、ある程度読み進めると、予測出来るものでしたが、人間のエゴ、暗部が怖いほど浮き上がっているように感じます。大変面白い作品です。