太宰は 学友のために 会ったこともない二人の 挙式をとりおこなうべく 悪戦苦闘する。 新郎が 北京から 訪日すると 交番に 応急米の手続きを取りに 行ったりする。 面倒見のよい人だったようだ。
友達の結婚の話
友を思う心、恩師への敬愛。自分の不得手な事でも、友人のために一所懸命に遂行して行く主人公の姿が微笑ましい。ちょっとハラハラしながら読みました。実話と言うので、驚きです。
題名の意味は「佳き日」(よきひ)一日に挙行された結婚式 佐藤春夫氏の「稀有の文才」の中で紹介された太宰作品がこの「佳日」である 争いを好まぬ男(私)が、その唯一の友人で表現が下手な男(大隅君)の結婚を取り持つ話 相手のお嬢さんは金持ちの美人のようだ 大隅君たちの大学時代の恩師は大隅君の頭髪(の薄さ)ばかりを気にしているのが滑稽だ 又、恩師は大隅君は照れ隠しで横柄な態度なのだと分析する しかし、大隅君は結婚相手の家を「名誉の家」と称している 姉2人の夫が出征し一人は戦死している 武士道が好きなのか、男子たるもの戦士でなければならず、女子たるものじっと耐え忍ぶ存在 ロマンティックな愛を囁く必要はない と古き日本の伝統を踏襲したいのだろう 単に照れ隠しだけではないと思う やがて男女同権になることを恐れているのではないか 少なくとも相手から縁だんを断られることを恥じと思い、その時はこっちから断ってやったくらいの見栄をはるためにぶっきらぼうで横柄な態度をとっていたのでは? ただ最後、涙を流しながら笑った大隅君は安堵と至福を素直に味わったことだろう