「支那近世の国粋主義」の感想
支那近世の国粋主義
しなきんせいのこくすいしゅぎ
初出:「藝文 第貳年第拾號」1911(明治44)年7月、「藝文 第參年第壹號」1912(明治45)年1月

狩野直喜

分量:約28
書き出し:一支那で國粹保存などいふ事を唱へ出したのは極めて近年のことで、以前には全く無かつたのである。一體かゝる思想は、他國の種類を殊にする文明が俄に侵入し來つて、自國固有の文明が其爲めに破壞されやうとし、或は破壞までは行かずとも、他國の文明の爲め自國の文明が、幾分か光輝を失ひ懸るといふやうな場合に起るものである。然るに支那は數千年の昔から自國固有の文明を持續し來つて、其根柢に變化を生ずるまで、他國文明の影...
更新日: 2023/03/03
564b7e350bffさんの感想

伝統王朝から近代西洋型国民国家への過渡期の大陸。現代中国語の中には、日本語からの借用が多くあることは知られているが、張之洞が具体的な批判を加えていたのを知る。不平等条約の撤廃には、西洋近代法整備だけではなく、武力拡充と戦争の勝利によるのだというリアリズムが当時の価値観を物語る。