人生に相渉るとは何の謂ぞ
じんせいにあいわたるとはなんのいいぞ
初出:「文學界 二號」女學雜誌社、1893(明治26)年2月28日分量:約20分
書き出し:繊巧細弱なる文学は端なく江湖の嫌厭を招きて、異《あや》しきまでに反動の勢力を現はし来りぬ。愛山生が徳川時代の文豪の遺風を襲ひて、「史論」と名《なづ》くる鉄槌を揮《ふる》ふことになりたるも、其の一現象と見るべし。民友社をして愛山生を起たしめたるも、江湖をして愛山生を迎へしめたるも、この反動の勢力の欝悖《うつぼつ》したる余りなるべし。反動は愛山生を載せて走れり。而して今や愛山生は反動を載せて走らんとす...