頑執妄排の弊
がんしゅうもうはいのへい
初出:「文學界 五號」文學界雜誌社、1893(明治26)年5月31日分量:約7分
書き出し:宇宙を観察するの途《みち》二あり、一は宇宙を「死躰」として観《み》るにあり、他は宇宙を「生躰」として観るにあり、人生を観察するの途二あり、一は人生を今世に限られたるものとして観るにあり、他は人生を未来に亘るものとして観るにあり。爰《こゝ》に於て吾人は知る、人間世に処するの途は、現在に希望を置くと、未来に希望を置くとの二岐に分るゝあるのみ。更に去つて歴史を観るに、盛衰興亡の端多く、一去一来の跡空しき...