漫言一則
まんげんいっそく
初出:「函東會報告誌 二三號」小田原・函東會、1892(明治25)年4月19日分量:約1分
書き出し:われかつて徒然草《つれ/″\ぐさ》を読みける時、撰みて持つべき友の中に病ひある人を数へたり。いかにも奥ゆかしき悟りきつたる言葉と思ひて友にも語りける事ありけり。然るに頃者《このごろ》米国の宣教師某を訪ひたる時、其卓上に日常の誡《いまし》めを記せるを見る。其中に言へる事あり、病ある人を友として親しむ可からずと。われ曾《か》つて英人なる宣教師某と相携へて花を艶陽の中ばに観る。わが花を賞するの心はわが時...