島木赤彦臨終記
しまぎあかひこりんじゅうき
初出:「改造」1926(大正15)年5月分量:約31分
書き出し:一大正十五年三月十八日の朝、東京から行つた藤沢|古実《ふるみ》君が、※蔭山房《しいんさんばう》に赤彦君を見舞つた筈《はず》である。ついで摂津|西宮《にしのみや》を立つた中村憲吉君が、翌十九日の午《ひる》ちかくに到著した筈《はず》である。廿日夜、土屋文明《つちやぶんめい》君が東京を立つた。翌廿一日の午《ひる》過ぎに、百穂《ひやくすゐ》画伯、岩波|茂雄《しげを》さんと僕とが新宿駅を立つた。たまたま上京...