話の種
はなしのたね
初出:「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)分量:約83分
書き出し:一給仕人は電気今春米国モンタナの工科大学で卒業生のために祝宴を開いた時、ボーイの代りに電気を使って御馳走した。一列に並べた食卓の真中に二条のレールを据え付け、この上を御馳走を満載した可愛らしい電車が徐々《そろそろ》と進行する。卓の両側に陣取った御客様の前に来るごとに、宜しく召上がれと停車する。この給仕車の進退を食卓の片隅でやっていた主人役は、その学校の教授某先生であったという話である。磁石に感ぜぬ...