段梯子の恐怖
だんばしごのきょうふ
初出:「探偵趣味」1926(大正15)年2月号分量:約3分
書き出し:「探偵趣味」第四号の配達された日、私を訪ねた友人Fは、室にはいるなり、「もう来たかね?」といって、机の上にあった雑誌を、いきなり取り上げて、ページを繰り始めた。彼はことし三十七歳の独身の弁護士である。「その十四ページを見給え、編集当番のNさんが、段梯子の恐怖ということを書いて居るから……」「え?」と彼は雑誌をまるめ、びっくりしたような顔をして私を見つめた。「何だい、馬鹿に真面目な顔になったじゃない...