アブセンス・オブ・マインド
アブセンス・オブ・マインド
初出:「新風土」1939(昭和14)年1月分量:約2分
書き出し:多少のアブセンス・オブ・マインドというのは、誰にもあることである。あるのが普通といってよかろう。しかし私は可なり念入のアブセンス・オブ・マインドをやったことがある。今に思出しても、自分で可笑《おか》しくなるのである。それは私がまだ金沢の四高に教師をしていた頃のことである。或日同僚のドイツ人ユンケル氏から晩餐に招かれた。金沢では外国人は多く公園から小立野《こだつの》へ入る入口の処に住んでいる。外国人...