『青空』記事

『あおぞら』きじ

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友情と言う言葉に驚いた。まさか彼から出てくるとは

　　　　　忽那に就て　忽那はクツナと讀む。奇妙な名だ。こんな話がある。高等學校では彼も教場を下駄穿きで歩く方だつた。獨逸人の教師が、「何故下駄で教室へ入るのだ」と或日彼に云つた。「靴がないのです」　そこでヘルフリツチユ先生が「｜道理で《ナチユールリツヒ》クツナ」　忽那の生國は伊豫だ。彼は犬神の話を持つてゐる。鬪鷄の話。海上の婚禮の話。おこぜの話。——そんなところから郷土的な「肥料盜人」のやうなものが生れた。　高等學校ではラグビーをやつてゐたことがある。應援團の中にもゐた。それでゐて畫をやる。かなり多方面だ。高等學校でも大學でも獨逸人には「能筆《シエーンシユライバー》」と云はれる。　情に脆く人なつこい性質とその半面の孤獨——時として彼はまいまいつぶらの樣に蓋を閉ぢてしまふ。　私は彼の印象から龍を畫くことが出來さうだ。然し睛を點じることは忽那よ、それは私一人ではやれないことだ、友情を力にして、

「青空同人印象記（大正十五年六月号）」の感想

青空同人印象記（大正十五年六月号）

あおぞらどうじんいんしょうき（たいしょうじゅうごねんろくがつごう）