編輯後記(大正十五年九月号)
へんしゅうこうき(たいしょうじゅうごねんくがつごう)
『青空』記事
『あおぞら』きじ初出:「青空」1926(大正15)年9月号分量:約4分
書き出し:同人の大部分が歸省中の編輯の任に當り、それを全うする積りであつたが、十七日に點呼があるので、殘務を中谷や外村や小林にあづけ十六日の朝東京を立つた。全くこの夏は暑かつた。平常は無爲な私も事務に追はれて、アスフアルトが弛んでゐるやうな街を歩いた。少し健康は害してゐたが、日によつてはその暑熱が私を街へ誘惑することもあつた。松住町から湯島臺へ上つて行く左手のバラツク屋根のなかゝら、茫然とした空に向つてへん...