「図書館の未来像」の感想
図書館の未来像
としょかんのみらいぞう
初出:「図書館年鑑」1951(昭和26)年10月

中井正一

分量:約3
書き出し:概念は常に、技術の進展とともに変化してきた。図書館の概念もみずから、異なり発展しつつある。文庫時代は、それは封建領主の財宝であって、大衆へのサービスの機能は全然考えられていないのである。ギリシャ、ローマ時代も、その意味では同じである。図書館の名前の館の意味する、大衆の出入する意味に転化するのは、その文化様相の転換が、みずからその意味を創造してきたというべきであろう。これに先行して、日本の貸本屋とし...
更新日: 2022/03/06
cdd6f53e9284さんの感想

中井正一の提示する図書館像(特にNDL)とは、簡単にいえば、知識と政治とを協力·結合させ、政治を知識(すなわち科学的実証的調査)によって組伏せていく文化機関というべきものである。 そして、それが、十分の役割を果たすのは、その知識が単なる個人的主観の枠内にとどまることなく、かつ、組織的な協力体制をなす集団的主体として編成され、望むらくは、その機関たるもの、単に実体的なものとして固定·静止することなく、常に機能的に躍動するものでなければならない。 つまり、よってもって、早い話が、図書館を孤立した実体的なものより、協力した機能的なものの働きへといざない導き、貶めることこそが、いまこそ求められるべき喫緊の課題というべきものではなかろうか。