中井正一の提示する図書館像(特にNDL)とは、簡単にいえば、知識と政治とを協力·結合させ、政治を知識(すなわち科学的実証的調査)によって組伏せていく文化機関というべきものである。 そして、それが、十分の役割を果たすのは、その知識が単なる個人的主観の枠内にとどまることなく、かつ、組織的な協力体制をなす集団的主体として編成され、望むらくは、その機関たるもの、単に実体的なものとして固定·静止することなく、常に機能的に躍動するものでなければならない。 つまり、よってもって、早い話が、図書館を孤立した実体的なものより、協力した機能的なものの働きへといざない導き、貶めることこそが、いまこそ求められるべき喫緊の課題というべきものではなかろうか。