水仙月の四日
すいせんづきのよっか
初出:「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日分量:約16分
書き出し:雪婆《ゆきば》んごは、遠くへ出かけて居《お》りました。猫《ねこ》のような耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪《かみ》をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越《こ》えて、遠くへでかけていたのです。ひとりの子供が、赤い毛布《けっと》にくるまって、しきりにカリメラのことを考えながら、大きな象の頭のかたちをした、雪丘《ゆきおか》の裾《すそ》を、せかせかうちの方へ急いで居りました。(そら、新聞紙《...