「過剰の意識」の感想
過剰の意識
かじょうのいしき
初出:「シナリオ」1951(昭和26)年7月号

中井正一

分量:約6
書き出し:何年前であったか、親不知子不知のトンネルをでたころであった。前に座っていた胸を病んでいると思える青年が、突然「ああ海はいい、海はいいなあ……」といって、一直線にのびている黒い日本海の水平を、むさぼるように凝視しつついうのであった。そして前に座っている私をつかまえて、多くのことをいったが、「単純な、静かな、この一直線はどうです好いですなあ。私は東京から体を悪くして故郷の山奥の温泉にいくんですが、東京...
更新日: 2018/09/04
いちにいさんの感想

都会の満員電車のことが出できた 社会学でいうところのパーソナルスペースを完全に無視した現象である 「過剰」な状態が押し黙ったままの憎しみ哀しみを毎朝夕産み出している 受身で不自由な人間集団が都会の知識人階級に存在する 「海はいいなあ」という自由で主体的な青年の感覚は宇宙が秩序と法則を持っていることを発見した初めての人間の感覚と同じであったろうに 過剰な意識は老いとともに鈍感して麻痺してしまう 言葉や思想を喪失した内弁慶な沈黙集団となってしまう

更新日: 2016/04/17
芦屋のまーちゃんさんの感想

宇宙、自然、天地、強いカ、単純、山奥、二十万年、自由。 VS 東京、満員電車という人間の集合、過剰、瑣末主義的現実。