「奈々子」の感想
奈々子
ななこ
初出:「ホトヽギス 第十二卷第十二號」1909(明治42)年9月1日

伊藤左千夫

分量:約23
書き出し:其日の朝であつた、自分は少し常より寢過して目を覺すと、子供達の寢床は皆殼になつてゐた。自分が嗽に立つて臺所へ出た時、奈々子は姉なるものゝ大人下駄を穿いて、外とへ出ようとする處であつた。凉爐の火に煙草を喫つてゐて、自分と等しく奈々子の後姿を見送つた妻は、『奈々ちやんはねあなた、昨日から覺えてわたい、わたいつて云ひますよ。『さうか、うむ。答へた自分も妻も同じやうに、愛の笑が自から顏に動いた。出口の腰障...
更新日: 2024/04/09
19双之川喜41さんの感想

 父親が 溺愛(できあい)していた 幼子が 池にはまって 大いなる方の下に 旅立つという筋である。著者の 哀しみが 伝わってくると 痛切(つうせつ)に 感じた。

更新日: 2022/04/23
19双之川喜41さんの感想

 幼子が 庭の池で 溺死してしまう話しである。 回らぬ舌で 父親に お菓子をねだる情景など 愛情にみちた交流のあとでの 騒ぎなので 心穏やかには 読み進めないと感じた。     なお 本稿は2000年6月2日に続き  2度目の公開である。

更新日: 2017/08/29
b9ef941530ccさんの感想

伊藤左千夫の奈々子は、以前読んだ、娘を池にはまって死なせてしまった親の哀しみ、可愛い娘を思う気持ちを綴ったお話しのコピーです。

更新日: 2017/03/06
2ecb27bc1a62さんの感想

可愛い子どもたちと母親父親との柔らかなやり取りの様子が、親愛深く表現されていて、まずそこに心持ちが暖められます。いつもどの子にも 優しい目配りに溢れていはずなのに、一瞬の隙が生じて、親としては悔やみきれない事態が起こりました。 最後まで愛情に満ちた眼差しと冷静な筆致に、眼がじんわりとしてしまいます‼