「春の心臓」の感想
春の心臓
はるのしんぞう
初出:「新思潮 第一巻第五号」1914(大正3)年6月1日

芥川竜之介

分量:約12
書き出し:一人の老人が瞑想に耽りながら、岩の多い岸に坐つてゐる。顔には鳥の脚のやうに肉がない。処はジル湖の大部を占める、榛《はしばみ》の林に掩はれた、平な島の岸である、其傍には顔の赭《あか》い十七歳の少年が、蠅を追つて静な水の面をかすめる燕《つばくら》の群を見守りながら坐つてゐる。老人は古びた青天鵞絨を、少年は青い帽子に粗羅紗《フリイズ》の上衣をきて、頸には青い珠の珠数をかけてゐる。二人のうしろには、半ば木...
更新日: 2021/01/10
19双之川喜41さんの感想

 師は 薔薇と百合に囲まれて 大いなる方のもとに 旅立った。 少年は 師の探し求めたものは 不死の霊のなかではなく 御一生の中に 探せば良かったと嘆く。 詩情溢れ 悠久の 境地に身を委ねると感じた。

更新日: 2019/08/08
58670ebe546aさんの感想

難解。 だけれども、文章がきれいで、言葉の選び方が素敵で、芥川龍之介の訳文がとても心地よかった。 イエイツは、小説やマンガやいろんなところで引用されるので、興味はあった。他のものも読みたいと思った。 特に書き出しのところは、萩尾望都のマンガのワンシーンが浮かんで来てしまって不思議な感じがした。

更新日: 2018/04/29
1a7da6eff4e7さんの感想

詩的で情緒に溢れた作品だ。老師の放つ言葉から様々な物語が想像され、これを基に新たなハリー・ポッターや指輪物語にも匹敵するような物語を作れそうなほど……。しかし、そのような物語なのに短く美しく終わる。 とても素晴らしい世界観です。

更新日: 2017/04/29
4798d837134cさんの感想

古語やないかーい。

更新日: 2017/03/08
17c63c540b6dさんの感想

春の心臓を感じること、その温かさ、脈打つようなうつくしさ。少年は呟く。「御師匠様は外の人のやうに、珠数を算へたり祈祷を唱へたりして、いらつしやればよかつたのだ。」それはすべての物が宝石を刻んだ如くに見える、温な、美しい夜の一つであったのに。