今もこの手のしょうもない詐欺師は尽きない
駅前によくいるこの手の詐欺師が昭和の初めの頃にもいたのが分かってなんだか可笑しかった
荷馬車を牽く馬を不憫に思い、馬面の寸借詐欺男に金を恵んでしまう顛末。黙々と荷を牽く馬は貴く、人を騙す人間は醜い。
陰気な橋を往復する彼と、鞭にうたれ必死で渡りきろうとする荷馬車は瓜二つのよう……。ある男に親切心から銭を渡すも、後日そういう手口で小銭を稼いでいる男を目の当たりにして、どうしようもなく複雑な気持ちになった。「惻隠の情」という言葉が何とも虚しい。
織田作之助の馬地獄とは荷馬車引く馬の辛さを言う。大阪に架かる多くの橋には勾配があり、かなりきつく、勢いで一気に通り抜けようとするが、途中で堪らなくなり、後に引きずられてしまう。お馬さんが、苦しいと鳴く。
馬が過重な荷を引かされ鞭打たれる姿はもののあわれを誘い、ホームレスの如き男を助けるが騙された!と知る終わりはシニカルですね。