「俳優の素質」の感想
俳優の素質
はいゆうのそしつ
初出:「演劇新潮 第一巻第二、三号」1926(大正15)年5月1日、6月1日

岸田国士

分量:約11
書き出し:昔から俳優の素質を論じる場合に、誰でも「感性」を第一に挙げてゐるが、これはつまり、他の芸術家の如く、一方に於て同じ程度の「想像力」を必要としない結果、「感性」の必要が著しく目立つからであらう。ある演劇論者の如きは、俳優には「感性」さへあれば「知力」は不必要だとまで主張したくらゐである。なるほど、俳優がある人物に扮する場合、その「役の解釈」に、さほど頭を使ふ必要のなかつた時代は、さうであつたらう。つ...
更新日: 2020/11/07
19双之川喜41さんの感想

 岸田は 感性だけではなく 理解力が大切であると 強調する。 すなわち 岡本綺堂には 心理が複雑な作品があり また菊池寛には 加えて性格の深さを要求され 山本有三には 哲学的内容を含んでいるからであるという。 近ごろの 巷の軽演劇人が読んだら 驚くことだろうと感じた。

更新日: 2016/05/28
芦屋のまーちゃんさんの感想

俳優も馬鹿じゃだめとのこと。 Not only 感性 but also 知性。 当然であろう。 少なくとも本が読めなくては話にならぬ。本が読めるということは、時には哲学的素養があるということを意味する。シェークスピアを演じるには、 シェークスピアが読めなければならない。ただ自分の役どころの台詞を暗記するだけでは演じたことにはならない。全体を解釈しなければならない。 解釈の内容を監督のそれと合わせなければならない。議論を繰り返さなければならない。どうしても意見が異なるとすればその監督の元から立ち去る必要がある。妥協は最も避けなくてはならない。 自由人たれ!!!