切ない話だけど読後は良かった
本当の話では無かろうが心のキレイな女性が白痴だが心根の良い年下の青年を一生に渡り労る心で待ち続けるピュアなお話。
白痴の少年のどこまでも純粋な気持ちに胸を打たれた。人は欲深いものを嫌うが、一途で純粋な欲に対しては切なくいじらしい気持ちになる。当時としては珍しく毅然として自分を通した女性、蘭子と共に私も四郎を待ってもいいと思った。二人が再会したらよくできたハッピーエンドだが、再会しないことにより余情漂う作品となった。 岡本かの子はあまり好きではないが、この作品は個人的に好みである。
とても美しい描写と文章で、心が癒やされました。仙台に講演で来られた時、今では商売繁盛の神様のように言われている「仙台四郎」の噂に出会い、聞き伝えされながら、この作品に書かれたというのは、とても有り難いことだなあ、と思いました。