「能ぎらい/能好き/能という名前」の感想
能ぎらい/能好き/能という名前
のうぎらい/のうずき/のうというなまえ

夢野久作

分量:約11
書き出し:能ぎらい日本には「能ぎらい」と称する人が多い。否。多い処の騒ぎでなく、現在日本の大衆の百人中九十九人までは「能ぎらい」もしくは能に対して理解をもたない人々であるらしい。ところがこの能ぎらいの人々について考えてみると能の性質がよくわかる。目下日本で流行している音曲とか舞楽というものは随分沢山ある。上は宮中の雅楽から下は俗謡に到るまで数十百種に上るであろう。ところでその中でも芸術的価値の薄いものほどわ...
更新日: 2025/05/22
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941   世上 流行 している 音曲は 芸術的な 価値が 薄い ほど 解りやすくて 面白いので 大衆的な ファンを 持っている。上手い 奇抜 目新しい 聴衆が 芸術的に 高揚 しなくても 筋立てに たより リズム 迫真性 装飾美 などに 充分 堪能 できる ように 仕掛が 組み 込まれている。しかし 能は そんな わけには いかない。数足 歩いた だけで 何百里も 歩いた ことになり たった 一人で 数万人と 切り結んだ ことになる。究極の 省略美 なので にわかに 誰もが 理解できる とは 限らない。能楽の 平易な 説明としては 「熊」という 字から 烈火を もぎ取り 後に 遺るのが 「能」と する。なので 手足を もぎ取られた 甚だしく 制約された 状態で パントマイムを 演じて 見せる ような もので その 困難さは 想像を 遥かに 超える。演者も 聴衆も 解りにくい ややこしさを 共有 せざるを えない。しかし 辛抱の 先には 滋味 深い 愉しみがまちかまえている。アニメ などに その 残滓を 感じ取られる ような 境地に 埋没 できる 解脱に たどり着くかも 知れないと 愚考した。