追悼文とも言える随筆作品であろう。題名にある『友田恭助』氏については、最初、思い出せなかった。本作を読み終える直前に、彼の人に関わる映画を思い出す。確か、戦中の戦意高揚映画で、日活が作った「敵前渡河 友田伍長」(多分こんな題名だった?)である。覚えている内容は、大分昔の記憶なので曖昧であるが、工兵の友田伍長が勇敢に橋梁破壊に出向き戦死した、と言ったものだったと思う。「肉弾三勇士」みたいな感じで見た記憶しかない。本作品に触れ、彼の人が、有望な新劇俳優であったことを知り、彼の人の足跡や出演劇を見てみたいという衝動にかられた。