「上海で戦死した友田恭助君」の感想
上海で戦死した友田恭助君
しゃんはいでせんししたともだきょうすけくん
初出:「読売新聞(夕刊)」1937(昭和12)年10月9日

岸田国士

分量:約2
書き出し:上海で戦死した友田恭助君岸田國士友田君の初舞台は新劇協会だが築地小劇場が出来て其メムバーになつたのが大体新劇俳優としてのハツキリした出発点である。友田君の存在が新劇界で重要なものになつたのは小劇場の分裂に際して左翼的傾向と対立的な側の一代表者になつたときからだと思ふ。ただ左翼劇全盛時代に彼としては自分の立場に立つて仕事をすることに色々悩みや困難があつたと思ふがそれが偶々自分で築地座を起すやうになつ...
更新日: 2019/08/20
ハルチロさんの感想

追悼文とも言える随筆作品であろう。題名にある『友田恭助』氏については、最初、思い出せなかった。本作を読み終える直前に、彼の人に関わる映画を思い出す。確か、戦中の戦意高揚映画で、日活が作った「敵前渡河 友田伍長」(多分こんな題名だった?)である。覚えている内容は、大分昔の記憶なので曖昧であるが、工兵の友田伍長が勇敢に橋梁破壊に出向き戦死した、と言ったものだったと思う。「肉弾三勇士」みたいな感じで見た記憶しかない。本作品に触れ、彼の人が、有望な新劇俳優であったことを知り、彼の人の足跡や出演劇を見てみたいという衝動にかられた。