岸田国士
新劇の有望な俳優である「友田恭助」氏への追悼文である。作者が、演劇文化発展に際して、友田氏の手腕を高く評価し、演劇文化振興の原動力と考えていたこと分かる作品(追悼文)である。作品末で「友田」氏の戦死を「男子の本懐」と綴られているが、当時の状況下ーー戦時下ーーでは、軍人に対する追悼文の定型として綴られたものであろう。本作品中に綴られた作者の「友田」氏への想いを見る限り、決して「本懐」であってと考えていないことが伺える。