「北支の旅」の感想
北支の旅
ほくしのたび
初出:「専売 第三〇七号」1938(昭和13)年3月1日

岸田国士

分量:約5
書き出し:北支の旅岸田國士去年の十月、私は或る雑誌社の委嘱によつて、戦乱の地北支那の一部を訪れた。塘沽に上陸し、天津から飛行機で保定へ、それから貨物列車で石家荘まで行き、引つ返して北京へ、そこで二三日滞在して、陸路大連へ廻り、船で帰つて来た。往復をいれて三週間といふ慌ただしい旅行ではあつたが、私としては、得難い経験であり、また、深く考ふべき多くの問題を拾つた。この旅行を通じての印象は、「北支日本色」と題する...
更新日: 2019/08/23
ハルチロさんの感想

戦禍に見舞われた北支(中国北部ーー北京周辺ーー)の状況が分かる作品です。本文中にある『北支日本色』には、本文以上に詳細な、当時の北支の状況が著述されていることと思います。一度、拝読したいと思います。愚生の解釈の拙さからか、少々気になった文章がありました。それは、中国人と日本人の気質の違いによるものかもしれませんが、“勝てば官軍”的な表現でありましょうか、敗者に対する武士道精神は廃れたのか、と思わせる文章部分ありました。これが皇軍の実際としたら、悲しくなりました。