岸田国士
本作品は、題名を見るとかなり広範な“文化論”の様に思えました。しかし、読んでみると、昭和初期に改正された著作権法を注目し、その目的条文(第一条)中に列挙された著作権の及ぶ著作物の範囲や定義について論じられています。“文芸学”に精通する著者らしい解釈や定義は、正鵠を射ていると思われる箇所が多く見られます。特に、著作権法の規範となった条約(フランス語)の語句の解釈、フランスにおける著作権に係る判例は、興味を引かれました。