「田巻安里のコーヒー」の感想
田巻安里のコーヒー
たまきあんりのコーヒー
初出:「東京朝日新聞」1930(昭和5)年7月15、16、17日

岸田国士

分量:約10
書き出し:一田|巻《まき》安里《あんり》は、甚だコーヒーをたしなんでゐた。彼は、朝昼晩、家にあつても外にあつても、機会を選ばずコーヒーを飲んだ。友人と喫茶店にはいり、「君はなに?」と問はれゝば、「無論コーヒーさ」と空うそぶき、コーヒーさへ飲んでゐれば、飯なんか食はなくてもいいと放言した。だれも、彼がコーヒーをたしなむことに偽りがあるとは思はなかつた。たゞ、敏感な友人は、彼がコーヒーをたしなむことは、寧ろ「コ...
更新日: 2016/07/02
芦屋のまーちゃんさんの感想

「恋に恋している」と女子が言う時がある。 感覚は以てると思うが 「コーヒーをたしなむこと」をたしなむ のが田巻安里のコーヒーのようだ。 義務感?なのか。 コーヒーを飲むのが辛そうな時があるらしい。 何となくわかる。 友人は、田巻安里の文学好きもコーヒーと同じだ!と皮肉を言う。 身近で言いかえるなら、 “サラリーマンたる者、酒は飲み、ゴルフはやり、女房子供は省みず、仕事人間になれ!” ヘンな義務感?だ! 流石に今どきはもっとゆるやかだが、 高度成長期のモーレツ社員はまんざらでもないだろう。 型にはまらないと奇人変人扱いされそうだが、勘違いの型もまた奇人変人になりうる。 田巻安里のように