岸田国士
作者の生い立ちと東京帝国大学入学までの経緯が簡潔にかかれた“履歴書”的著述である。本文の終わり方が少々中途半端なように思える。続きがあるのだろうか。本文最後に『大杉栄』氏との会合を考えていたが、実現されていない旨の記述がある。著者の帝大入学の時期などを考えるに、著者は、その後『大杉栄』氏に会うことは叶わなかったかもしれない。『大杉栄』氏は、1923年9月に「甘粕事件」により落命されている。些末なことであるが、著者が『大杉栄』氏に会えたかどうかを知りたくなる。