岸田国士
本作品は、『東京日日新聞』に掲載された宣伝広告的記事である。この作品で注目したい点は、この時代に、当時で言えば恐らくサブカルチャー的位置付けであろう「演劇映画」に学問的要素を見出だし、「演劇映画」学士を排出しようと考えたことである。この時代ーー昭和13年ーーは、前年に『盧溝橋事件』が勃発し、日中戦争に発展した年、世界に目を向ければ、ナチスドイツが隣国侵略に画策し、第二次世界大戦の口火を切らんとしていた年、である。現にこの記事ーーこの作品ーー発表の年、著者は従軍作家の陸軍部隊の一員として召集されている。愚生のような短慮非才のものには、暗雲漂う時代に、文化芸術の発展や未來を考える余裕はない。この着想は、現代において、「現代まんが図書館」を創設した明治大学の気風によるものであろう。