「空襲時に於ける興行非常対策について」の感想
空襲時に於ける興行非常対策について
くうしゅうじにおけるこうぎょうひじょうたいさくについて
初出:「興行日本 第一巻第一号」1944(昭和19)年9月20日

岸田国士

分量:約13
書き出し:空襲時に於ける興行非常対策について岸田國士一、警戒警報発令中の興行に関しては、其の期間、劇場、映画館の閉鎖を以て一応の対策と見做し、目下これに従つてゐるのであるが、警報長期に亙る場合、然も早急に解除の見込立たざる情勢下に於ては、各地方官庁に於て適宜必要に応じ、興行場の再開を許可する方針らしいけれども、其の内容及興行方法に就ては、自ら臨時的考慮を加へなければならぬであらう。一、空襲を受けた場合、その...
更新日: 2019/09/04
ハルチロさんの感想

この作品が発表されたのは、太平洋戦争末期、米軍にグアム、サイパンを攻略され、B29による日本本土空爆が激化してきた頃です。当然、この作品のような戦時下行動規範案の様なものが、各所から出てきていたことと思います。少々意外だったのは、本土空爆で、国民の悲愴感が高まり、最低限の衣食住の必要行為以外は、自粛、中止ないしは廃止されていると思っていましたが、本作品を見る限りでは、空襲の危機感が増すこの時期でも、芸能興行が催されていたことです。文中にも『国民の士気高揚』の為の芸能興行を催す旨の記述がありますが、この点から考えても、“国家総動員”という思想が垣間見れる気がします。