この作品が発表されたのは、太平洋戦争末期、米軍にグアム、サイパンを攻略され、B29による日本本土空爆が激化してきた頃です。当然、この作品のような戦時下行動規範案の様なものが、各所から出てきていたことと思います。少々意外だったのは、本土空爆で、国民の悲愴感が高まり、最低限の衣食住の必要行為以外は、自粛、中止ないしは廃止されていると思っていましたが、本作品を見る限りでは、空襲の危機感が増すこの時期でも、芸能興行が催されていたことです。文中にも『国民の士気高揚』の為の芸能興行を催す旨の記述がありますが、この点から考えても、“国家総動員”という思想が垣間見れる気がします。