「村の学校(実話)」の感想
村の学校(実話)
むらのがっこう(じつわ)
初出:「赤い鳥」赤い鳥社、1931(昭和6)年2月

鈴木三重吉

分量:約14
書き出し:今からちようど六十年前に、フランスはドイツとの戦争にまけて、二十億円のばい償金を負はされ、アルザス・ローレイヌ州を奪はれました。その土地はこの前の世界戦争で、やつと又とりかへしました。このお話は、アルザス・ローレイヌがドイツ領になつて、村々の小学校も先生がみんなドイツ人にかはつてしまつたときのお話です。一私たちの小さな学校は、ハメル先生がどかれてから、がらりとかはつてしまひました。ハメル先生のとき...
更新日: 2015/07/04
57d3727fa0f2さんの感想

フランス人から見たドイツ人が当時如何に嫌悪感に満ちたもであったか、伺い知ることができる。 征服された側の気持ちは、往々にしてこの様なストーリーを書かせがちなのだろう。実話だとわざわざことわっている副題にも、悔しさが滲み出ているような気がする。翻って、朝鮮半島からの日本に対する思いも、このようなものであったと考えるべきではないか。何時まで謝れば気が済むんだ、といったような態度が、見え隠れするうちは、なかなか、融けないものと日本人は考えるべきではないか。歴史問題は、日本人自身がもっと歴史をどう評価し、己の歴史から何を学び、反省するかが問われていると思う。相変わらず韓国人が、中国人が持ち出して来る、といったような受け止め方では、結局自身の内から出てくるべき本当の反省の機会を自ら捨てていることにならないか。戦後、日本人自身が戦争責任、戦前の政治責任を徹底的に追求せずに、東京裁判ですませている、他人の判定に任せたままにして来てしまった、つけが来ているような気がする。その付けは、安倍政権によって憲法が蔑ろにされるという、形で払わされるはめになっているのではないだろうか。