西部劇通信
せいぶげきつうしん
初出:「時事新報 第一六七八三号~第一六七八七号」(第一六七八六号は休載)1930(昭和5)年3月5~9日(8日は休載)分量:約3分
書き出し:西部劇通信牧野信一「西部劇通信」に収めた諸篇——「川を遡りて」から「出発」まで——は、私のこの五年間の、主なる作品である。私は、在りのまゝの生活、観たまゝの世界を、そのまゝに描く写実派の作家ではありませぬが、作品が生活の反影——私にとつては寧ろ生活が作品の反影とも云ひたい——であることは勿論で、斯うして一まとめにして見ると今更ながら様々な感慨に打たれます。私が、この前の東京生活を引きあげて田舎へ移...